本田監督

FMぜんこうじ『
どばっしーのフォルサ☆パルセイロ』でレディース本田美登里監督のインタビューが放送されました。

以下、内容です。



本田監督

―― 優勝・昇格が決まった時の気持ちは?
本田:もうホッとしたっていうのが正直なところ…ですね。


―― リーグ戦途中まで負けなしで、このまま無敗優勝するかも…といったプレッシャーは感じた?
本田:いやいやいやそれが変な言い方になるとアレなんだけど、いつでも負けることを覚悟してるっていうか、"失点するならこういう失点の仕方だな"っていう自分たちの弱点を知っているので、その弱点を押さえられた時には仕方ないなっていうのはあったから。だから「負けなしで凄いですね」っていうプレッシャーはない。必ず絶対こんなわけないっていうのは自分たちが分かっているから。どこかでコケるだろうという準備はいつもしていたので、それに対するプレッシャーはホントになくて。でも1番はDF坂本の怪我した瞬間には色んなことがあるなって(笑)


―― 終盤の敗戦からの立て直しが上手くいったかなと思うが?
本田:福岡に負けてロッカールーム帰ってきたら、試合に出ていたメンバーが全員シャワーを浴びずに個々のロッカールに背を持たれて重い空気が。だからといって誰かが何かを話すわけでもなく「ああ、崩れるならここから崩れるな」と自分の経験と匂いとで感じて、だから「このままじゃ崩れるよ。だからもう一回チームひとつになってやらなきゃいけないし、誰が良いとか悪いとかじゃなく、スタメンの選手たちは絶体にやるべきことが分かっているはずだから」っていう話はしました。で別でトレーニングしていた控えの選手たちには「試合に出れないけど、試合に出ている選手たちを脅かすのは君たちなんだから、君たちが絶対にやらなきゃいけない」という話をして、その横でリハビリ組が地味にリハビリをしていたんですけど「なるべくグランドに出てきて欲しい。今チームがバラバラになりかけているから、リハビリ組もなるべくリハビリをグランドでやって欲しい」ていう話をして。だからもう一回それぞれみんな一つになろうよ、なった方が良いよねってう話をして。そしたらキャプテンのDF田中が全員を南長野の更衣室に集めて、スタッフ無しの選手ミーティングをして…ていうところが大きかった。


―― チーム作りをする上で去年から変えたところや意識した所は?
本田:スタッフ同士で「あの選手ああだよね。こうだよね」って言っている雰囲気を絶対に選手に伝わらないようにしようっていうのが今まであったが、もともと物事をストレートに言う性格なんだけれども、さらに「もう悪いものは悪い!良いものは良い!」っていうものを隠し立てすることなく、さらにストレートに伝えたことが「監督は表裏が無い。監督のことを信じてやれる」って選手が思ってくれたかなと思います。


―― 浦和から移籍してきた選手の影響は大きかった?
本田:大きかったですね。それぞれセンターバック、トップ下、横山とコンビを組むFWと真ん中の主軸を補強できたことは非常に大きかったと思います。


―― 地元出身のMF牧井が成長しましたね?
本田:1年目はまー声も出ないわ、聞こえないわ、オドオドやってるわで。だけど選手って試合に出ることで自信がついていく。特に牧井は今年一番急成長した選手だと思います。


―― 皇后杯で浦和レッズと試合をすることになった時の心境は?
本田:私自身はあんまり気にしてなかったんですけど、レッズから移籍してきた選手はそれなりに意識しますし、まったく1部で試合したことがない選手たちはレッズというブランドに気後れする部分があって、でもFW横山とかは「レッズを食ってやろう」ていう思いが凄くあって。なので非常に緊張感があるわけでもなく、いつものリーグ戦のなかのひとつのようなイメージでは入っていけたなっていうのはあります。試合を見てた方には「劣勢だったね」って言われるんですけど、我々の中では想定内の失点ともうちょっと上手くいけば得点が取れたっていう手応えもあるので、それを来季に向けて…ていう良い試合ができたと思います。


―― 1部で戦い続けるレッズとの違いは何だと思いますか?
本田:まずは判断が早いっていうこと。それとやっぱり自信もってプレーしてるなっていうところの2つが。ただ技術的な部分だとか逞しさっていうのはそんなに変わりはなかったんですけど、その2つっていうのは環境が大きいなっていうのは感じました。


―― 以前率いていた湯郷Belleが昇格した時と喜びは別?
本田:そうですね岡山湯郷にいた時は「何年で昇格してくれ」とか言われているわけでもなく全く0から立ち上げて一歩一歩作っていったチームだったんですけど、長野に来る時には「3年で上げてくれ」っていうオシリが決まっていて"昇格ができなければ自分の契約もおしまい"っていうところだったので、ほど良い緊張感の中やらせてもらったかなと思います。


―― 来シーズンの準備はどう?
本田:このチームでは1部で戦うにはまだ力不足なところがあるのでもう一度補強しなければいけない部分、それから頑張ってくれて1部に昇格させてくれた選手たちをもっともっと成長させたいっていう。まだまだ成長できる選手がホントに多いので、チームとしては進化し続けるチームにしていきたいっていうのはあります。


―― 1部に上がればチームも街も変わりますよね?
本田:そうですね最終戦3,800人のサポーターのみなさんが駆けつけて下さって我々が感動をもらったんですけど、ただ今度はINACが来ます~浦和レッズが来ます~っていったらまた大勢のサポーターの皆さんが来られると思うので、もっともっと賑やかな南長野になるんじゃないかなって楽しみにしています。


―― FW横山選手がMVPに輝いたり日本代表に選出されたが今シーズンの評価は?
本田:有言実行を2年続けてくれて、35点ていう目標も自分で設定して、去年もそうなんですけどかなり最後の最後まで厳しい中で…でも最後の最後で自分で取りきったっていうのはしっかりと実績を作っているなっていう部分はありますけど、ただピッチの外のところで成長して欲しいなって思う今日この頃です(笑)
この1年で日本代表に選ばれたこともあって意識はだいぶ変わったなと。今までだったら練習が終わった後にランニングしてたんですよ。でも今は練習の前にランニングをきっちりして、100%で練習に入っていくっていう。21歳でその意識を持っているのはこの1年の成長かなと思います。
チームへの刺激も横山が選ばれるなら…と思う選手も居るし、日本代表ってもっとこうなんだよって、"あれだけ努力しててもまだまだサブでしか使ってもらえない"っていうところの基準だとか。なんとなくパルセイロの選手たちも日本代表をテレビで見るものじゃなくて、一緒にプレーする選手っていう感覚になってきたんじゃないかなって思います。


―― これで1部に上がるが「パルセイロに来たい」と思う選手も出てくるのでは?
本田:去年も何人かに声をかけてる中で「本田さん1部でプレーしたいんでゴメンナサイ」って言う選手達も居て、じゃあ1部に昇格してだんだん右上がりに成長しているチーム、もちろん環境も含めてっていうところのクラブになっているので、そういった選手がもっともっと増えてくれたら、もっと楽しみも増えるかなと思います。もしかしたら補強のところで「オー!!」という選手が来て欲しいなと思いますけどね。


―― 来季の目指す順位は?
本田:まだザックリとなんですけど、Jリーグのレディースチーム…ジェフとかレッズとかアルビレックスとか、そのチームが今回上位6チームに全て入ったんですよね。男子チームを持っていないレディースのチームが下から4つになったんですよね。なのでもちろんパルセイロは男子があるし、そういった部分で言うとちょっとハードルが高いかもしれないんですけど、ほかのJのレディースチームと同じようなレベルを目指したいなと。


―― シーズンオフはどのように過ごす?
本田:ここからそれこそ選手補強の為に皇后杯を含めて見に行く、高校サッカーを見に行く、大学サッカーを見に行く…から来季どうやって戦うかを。なでしこ1部の試合をここ1年ほとんど見てないので、基準ベースがちょっと分かってないのでそれを家で見る、そしてこの1年みなさんに沢山のお守りをもらったので、それを返しに善光寺へ行くっていう(笑)


―― 退団する選手にメッセージを
本田:1部に昇格できたのは今いる25人の選手たちの力だったので、これからもそれを自信に持って移籍をするにしても引退するにしても胸を張って"自分たちが昇格をした"っていう事実を持ってこれから色んなものに活かしてほしいなと思います。


―― サポーターの力も大きかったと思いますがいかがですか?
本田:昨年はずっと佐久で1,000人を超えることがなかなかなかったんですけど、今季は開幕から1,500人を超えるサポーター、そして南長野での最終戦で3,000人入ったら良いなと言われながらも「2,500人いけば良いな」位に思ってたんですよね。それが3,800人ていうのはほとんどトップの動員と同じぐらいで。特にバックスタンドはホントにその雰囲気だったので、観客数が発表された時には鳥肌が立つ位。ここで負けられないしっていうのはありましたね。逆に皆さんの前で優勝を決めれてホントに良かったなって思います。


―― 最後にサポーターにメッセージを
本田:我々が勇気と感動を与える立場にあったんですけど、皆さんから勇気と感動をいただきましたので、また来年はそれを共有して、もっともっと熱いクラブにしていけるように皆さんと共に頑張っていきたいと思います。また応援して下さい!